2008年11月

ここでは、2008年11月 に関する情報を紹介しています。
こんにちは、心理カウンセラーの増田泰司です。

医師の仕事、カウンセラーの仕事


医師の仕事


相談にいらっしゃった方のお話を聞いていて、うつ病かも知れないなと感じたときには、とりあえず専門医の診断を受けるようにお勧めしています。

うつ病は原因不明ですが、現象として、脳内の神経伝達物質が減少し、そのために前向きに活動的に生きていくことが難しくなっています。

そこで、抗うつ剤や睡眠薬などを処方して、薬の助けによって、身体面の問題に対処してもらうのです。これによって、ある程度活動できるようになったり、食欲や睡眠などの問題が改善されたりします。


カウンセラーの仕事


うつ病になりやすい方は、責任感が強くて、頼まれごとを拒否できなかったり、周りで起こる様々な問題に対して「自分が足りないせいだ」と、自罰的な考え方をしたりと、ストレスをためやすい傾向があるようです。

うつ病は、ストレスがたまりすぎて、心が疲労骨折を起こした状態だと言うこともできます。

薬の助けによって、うつ状態が改善しても、以前と同じような生き方をしていては、またストレスがたまって、心が疲労骨折してしまいますね。

そこで、カウンセラーは、今までの生き方を見つめ直し、今までよりもちょっとだけ楽な生き方を身につけられるように、お手伝いをします。カウンセラーだけでなく、この点までカバーしてくれるお医者さんもいらっしゃいます。


役割分担


そうそう、「うつ病になったのは、あなたの性格のせいだ。性格を直さないといけない」なんて、患者さんに迫ってはいけませんよ。そんなことを言われたら、患者さんはますます自分を責めて、症状を悪化させますからね。

だいたい、患者さんがうつ病になったのは、性格が悪いせいじゃありませんし。

このブログの読者であるあなたは、患者さんの家族だったり、恋人・友人だったり、周りでサポートする立場の方々ですね。医師には医師の、カウンセラーにはカウンセラーの役割があるように、あなたには、あなたにしかできない役割があります。

性格の問題などを云々するのは、皆さんの役割ではありません。

患者さんの病気を治すのは、皆さんの役割じゃないんです。それは、医師やカウンセラーに任せちゃいましょう。

そして、医師やカウンセラーではできない、あなたならではの役割に集中しましょう。


家族・恋人・友人の役割


じゃあ、あなたならではの役割って何なのか……。

それは、「患者さんが皆さんにとって、どれだけ大切な存在なのかということを伝える」ことです。


自信


私たちは、自分自身のことをOKだと思っていなければ生きていけません。

OKだというのは、「自分はここにいていい」「自分は、愛される価値のある大切な存在だ」「自分は幸せになる権利のある存在だ」というような意味です。

「自分はここ(家庭、学校、職場、サークル、地域、この国、この世など)にいてはいけない」「誰にも愛されない、価値のないダメ人間」「幸せになれるなんておこがましい」なんて100%思っていたら、生きてはいけませんものね?

「自分がOK」というのは、「自信がある」と言い換えてもいいでしょう。

自信がなければ生きていけませんから、私たちは、何とか「自分がOKである証拠」、すなわち自信の種を身につけようとします。


自信の種の喪失


ところが、うつ病になると、自信の種をどんどん奪われていきます。仕事に行けなくなるし、容姿に気を使えなくなるし、人を楽しませたり喜ばせたりできなくなるし……。

そして「自分には価値がない」「自分の存在は迷惑なだけだ」「死んだ方がマシだ」と、どんどん自分に対して否定的になっていきます。しかも、症状がひどくなると、身動きできないから、死ぬことすらできない。

存在していい理由をことごとく取り去られて、ただそこにいるだけになってしまいます。それは、本当につらい経験だと思います。


それでも、存在が喜ばれる


でも、患者さんが、自信の種をことごとく失ったと思っているにもかかわらず、家族や恋人、友人たちは、それでも患者さんを見捨てないのです。

「あなたは仕事ができなくなったから、さようなら」
「あなたは、前のように私を楽しませてくれないから、もういらない」
「暗い顔ばかりで、いつも死ぬ死ぬ言っているなら、勝手に死ねば?」

……というふうに、見捨てたりしないで、そこにいてくれるのです。

そして、「あなたがいなくなるなんて、悲しい。寝たきりだって何だって、あなたがこうして生きていてくれることが嬉しい。だって、あなたは私にとって大切な存在なんだから」と、言い続けてくれるのです。

すると、患者さんは、自信の種を失ったために、自分がOKだという理由は分からないけれど、「こうして大切にされている以上、何だか分からないけど、自分は大切なのかも知れない」と思うようになります。

自信の種を手に入れ、それを保つために、患者さんは今までがんばってこられたかも知れません。でも本当は、「これを持っているから、これを身につけたから、これを達成したからOK」というような条件付きのOKではないんですよね。

あなたは、患者さんが仕事をしてお金を稼ぐからOKだと思っているわけじゃないですよね? 楽しませてくれるからOKだと思っているわけじゃないですよね? いつも明るい顔をしているからOKだと思っているわけじゃないですよね?

もちろん、仕事に行ってもらうに越したことはないし、明るい顔をしていてくれる方がうれしいでしょう。でも、それと、患者さんが自分にとって大切な存在だというのは、全然別の話ですよね。


真の自信回復


患者さんは、自分がOKである証拠を探し、身につけ、保つために、必死にがんばってこられたのかも知れません。そして、それにくたくたに疲れて、心が疲労骨折してしまったのかも知れません。

しかし、家族や恋人友人など、患者さんにとって大切な人に、無条件に大切にされるとき、患者さんはOKの証拠探しから解放され、今までよりももっと楽な生き方を身につけることができるようになるでしょう。

そして、自分の周りに、こんなにも自分のことを大切に思ってくれている人がいるのかと、新たな感動を覚えることでしょう。

だから、うつ病から解放された人たちが言うのです。「うつ病になって良かった」って。


あなたの役割


医師でもカウンセラーでもない、家族・恋人・友人としてのあなたの役割は、患者さんに対して、「あなたのことが大切だ」という、あなたがいつも思っているメッセージを伝えることなんです。

これは、医師にもカウンセラーにも十分行なうことができない、あなたならではの役割です。

うつ病の家族への対応マニュアル」では、どうやったらそのメッセージを伝えることができるかを解説しています。

テクニックが患者さんをいやすのではありません。患者さんを大切に思う、そのあなたの思いが患者さんをいやすのです。マニュアルで私が紹介しているテクニックは、そのあなたの思いを効果的に伝えるための手段です。


こんにちは、心理カウンセラーの増田泰司です。

お笑い芸人の「クールポコ」、けっこう好きです。男は黙って……。


なぁにぃ? やっちまったなぁ!


私たちは神さまではなく、ただの人間です。ですから、患者さんとの関わりの中で、失敗することも当然ありますね。

精神的にいっぱいいっぱいになって、つい相手を責めるような言い方をしてしまったり、良かれと思って、つい「○○したら?」なんてアドバイスをしてしまったり……。

そして、患者さんがどーんと落ち込んだりすると、こちらも「やっちゃった」と落ち込みますし、「どうしよう」とパニックになります。そして、何とかしなきゃと、気が焦りますよね?


でも、そんなときこそ落ち着いてください。


罪責感を軽減するための行動


「失敗してしまった」という罪責感から患者さんに関わると、どうしても、「失敗をカバーするための行動」になってしまいます。

たとえば、しつこく謝り続けるとか、今まで以上にしつこく声かけなどをしてしまうとか……。


でも、これは患者さんにとってはかえって重荷になります。

なぜかといえば、患者さんのための関わりではなく、自分のための関わり(自分が感じている罪責感を軽くするための関わり)だから。患者さんは、私たちの罪責感を軽くするという重荷を負わされることになります。


普通に接してください


じゃあ、どうするかですが、「失敗」以前と同じように接してください。

「今までのやり方は間違いだった。何と、自分はひどい人間なんだろう」と、自分を責めながら患者さんに関わるのは逆効果です。


このブログの記事や、サイドバー右上の無料冊子では、患者さんへの接し方といろいろと紹介しています。

それらを読んで、「へー、こういう接し方をするといいのかぁ」というふうに思ってやり方を変えるのならいいです。つまり、「これからどんなふうに、患者さんとの関係が良くなっていくかな」と、ある意味、ワクワクしながらやるならOKです。


援助しないという援助


でも、もしも、「自分は、今まで患者さんにひどい対応をしてきた」「自分のせいでこの人はうつ病になった(うつ病が悪化した)」と、自分を責める思いがあるのなら、患者さんを回復させようと思うのは、いったんストップしましょう。

それが、患者さんにとっては、大きな助けになります。


援助しないことが援助になることがある。

私も、カウンセリングの中で、何度も思い知らされた真理です。