2009年04月

ここでは、2009年04月 に関する情報を紹介しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
前回に引き続き、うつ病の治療で用いられる「認知療法」についてお話しさせていただきます。

ただし、認知療法は患者さんに対して用いるのではなく、まずサポーターであるあなた自身に試してもらいたいです。

認知療法は相手の考えを修正しようとしますから、下手な使い方をしてしまうと、かえって相手を傷つける可能性があるのです。しかし、自分で自分に用いる分には、悪影響はほとんどありません。

感情は考えが生み出す


認知療法の基本的な考え方は「感情は、状況が生み出すのではなくて、自分の考えが生み出す。だから、考え方を変えれば、感情も変わる」というものです。

考えというのは、人から何かを言われたとか、何かの出来事が起こったとかしたときに、どのようなことを考えるか、あるいはその事実をどのように受け止め、解釈するかということです。

いつもうつっぽい人や怒りっぽい人というのは、物事の受け止め方や考え方が、合理的ではありません。論理的な飛躍があったり、事実に反する結論を出したりするのです。

合理的ではない考えの例


全部私が悪いのよ


郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも、みんな私のせいなのよ……って感じですね。本当は関係ないのに、何でもかんでも自分が悪いせいだと受け止める人がいます。

あなたも、うつ病の患者さんが、まったく関係ないことで自分を責めていらっしゃるのを、何度もごらんになったことでしょう。

私は、「うつ病の家族への対応マニュアル」という本を書いたおかげか、患者さんをサポートしている家族や恋人、お友だちの方々とのやりとりが増えました。そして、多くの方々がこんなふうに考え、苦しんでおられることに気づきました。

それは、「この人がうつ病になったのは、私のせいだ」「この人がなかなか治らないのは、私のせいだ」という考えです。

この記事を読んでおられるあなたに申し上げます。これは間違った考えです。あなたの大切なあの人がうつ病になったのはあなたのせいではありません。病気がなかなか治らないのは、あなたのせいではありません。誰が何と言おうとも!

あなたには人をうつ病にする神通力はありません。そして、人をいやす神通力もありません。それは、医師やカウンセラーだって同様なんです。私たちにできるのは、その人が癒えていくのを見守り、お手伝いをすることです。

あなたのせいじゃありません。もちろん、患者さんのせいでもありません。誰も悪くないのです。犯人捜しをして、自分や他人を責めることに時間とエネルギーを使う代わりに、「じゃあどうしようか」ということを考え、実行していきましょう。

もうおしまいだ!


患者さんの治療が長くかかったり、一家の大黒柱が病気になったりすると、「このままどうなってしまうんだろう」と不安になりますね。その場合、間違いなく破壊的なひどい未来を思い描いています。

  • お金が無くなって一家でホームレス……とか

  • 世をはかなんで自殺……とか

  • 誰からも見捨てられて、一人さびしく死んでいく……とか


リスクをあらかじめ想定しておくことは大切です。しかし、必ず破壊的な未来が実現すると決まっているわけではありません。そう決めつけるのは合理的じゃありません。そうならない可能性もあるんだということを知らなければなりません。

ある人が「不安の8割は実現しない」と言いました。ホントか嘘か、統計を取ったわけではありませんが、感覚としてはうなずける数字です。

人は、わけの分からないものを恐れます。でも、正体が分かると、結構大丈夫だったりもします。たとえば、闇夜に、隣の家の庭で白いふわっとしたものが動いているのを見てドキッとしたとしても、よく見たら、取り込み忘れたシャツだった……そうしたらもう怖くありませんね。

そこで、不安になったときは、正々堂々、思い切り不安になりましょう。そして、うすらぼんやりと思い描いている破壊的な未来、「こうなったらいやだ」と思って恐れている未来を、はっきりと意識のキャンバスに思い描くのです。

実際、文章で紙の上に書き出したり、絵に描いたりしてもいいでしょう。

すると、不安との間に距離を置くことができます。不安が無くなりはしないにしても、不安と共存できるようになるでしょう。

視野の狭さ


感じ方に問題を抱えている人は、視野が狭くなっていて、否定的なものしか見えなくなってしまっていたりします。その結果、落ち込んだりイライラしたりするのです。

しかし、ちょっと落ち着いて周りを見わたしてみると、感謝すべき点、喜ばしい点がたくさんあることに気づくはずです。

うつ病の患者さんの症状が重くて、一日中寝ている……そればかり目につくと、周りのサポーターとしては、がっかりしたり、不安になったりしますね。

しかし、患者さんや患者さんを取り巻く状況は、本当に否定的なものだけでしょうか。いいえ。たとえば、「少しご飯を食べてくれた」「今日も生きてくれている」「薬をちゃんと飲んでいる」「子どもの頭をなでてくれた」など、肯定的なものも、探せば見つかるはずです。

問題は、あると思って探さないこと。

なぜ探さないかといえば、そんなのは当たり前だと思っているからです。ご飯を食べるのは当たり前、生きているのは当りまえ、医師の指示通りに薬を飲むのが当りまえ、子どもに優しくするのは当たり前……。

「ありがとう」は「有り難し」から来ています。すなわち「あり得ないようなことが起きた」という感動です。当たり前と思っている人は、感謝や感動は味わえません。

それどころか、「当たり前」のことができない相手や自分にがっかりして、責めたくなります。

足りないところを数え上げるのではなく、当たり前のことを当たり前のようにやっていることに、むしろ注目してみましょう。そして、これは当たり前じゃない。ありがたい。そう思ってみましょう。

練習が必要


他にもいろいろと合理的ではない考え方がありますが、この辺にしておきましょう。

これらの考え方というのは、私たちの癖になっています。そして、半自動的に、無意識のうちに脳内で処理され、憂うつ・イライラ・不安などの嫌な感情を生み出してしまいます。

そこで、これらの考え方の癖を改めるには、よっぽど意識しないといけません。そして、練習が必要です。だから、うつ病の症状が重い患者さんには、認知療法はきついし、専門家による指導・サポートが不可欠なのです。

決して無理に勧めないでください。ましてや、「あなたの考え方がおかしいから、うつ病になるんだ」なんて責めたり、「こういう考え方をしたら?」なんてお説教してはダメですよ。

まずご自分でご自分の考え方の癖を探ってみてください。

次回も、認知療法についてお話しします。



スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。