2009年06月

ここでは、2009年06月 に関する情報を紹介しています。
うつ病は心の風邪です」。

そんな言葉を読んだり聞いたりしたことはありませんか? 最近、いろんなところで見聞きする言葉ですね。

しかし、この言葉によって、うつ病やうつ病治療に対して、間違ったイメージが持たれてしまうということがあるようです。

うつ病は心の風邪という意味


誰でもかかる可能性がある


誰でも風邪にかかる可能性があるように、うつ病は、誰でもかかる可能性のある病気だということです。

うつ病になったからといって、その人が格別に弱い人間だとか、性格的におかしい人間だとかいうことではありません。

うつ病は病気である


そして、うつ病は「病気」だということです。脳の神経と神経をつないでいる「シナプス間隙」というところの、神経伝達物質の量がアンバランスになって、前向きに考えたり、元気よく活動したりできなくなっているのです。

風邪をひいたら、声がかすれてしまい、流暢にしゃべったり、美しい声で歌ったりできなくなるかもしれません。熱が出て体力を消耗すれば、素早い行動がとれなくなるかもしれません。でも、それは病気のせいであって、その人のやる気の問題とか、性格の問題とは関係がありません。

ですから、「その性格を直せ」とか「もっと前向きに考えろ」とか、患者さんを責めないようにしましょう。

専門家の治療が必要である


風邪をこじらせたら、病院で治療してもらう必要があるように、うつ病になったら専門家の治療が必要です。しかも、早ければ早いほどいいです。こじらせて肺炎になれば、それだけ回復に時間がかかります。

ご主人がうつ病じゃないかと疑った奥さん、何度か通院を勧めたのですが、ご主人は自分で治すんだと、通院をいやがりました。ご主人は、薬の力を借りることを、弱さの証明だと感じたようです。

そこで奥さんは言いました。

「インフルエンザにかかったら自力で治す? 骨折したら自力で治す? 自力で治さないで、薬や手術の助けを借りた人のことを、家族やお医者さんは弱い人だって馬鹿にする? うつ病は病気なんだから、自力で治せなくても恥じゃないよ。むしろ、薬の力を借りて、あなたが早く楽になってくれる方が、私は安心だし、うれしいよ」。

ご主人は、通院を了承してくれました。そして、早めに病院に行ったおかげで、その後も順調に回復なさいました。


間違ったイメージ


たいしたことない


風邪という言葉から、うつ病は心配するような病気ではないと、軽く考える人が結構たくさんいらっしゃるようです。

そのため、本人も家族も、治療の必要を感じないで、「何とか自力で」とがんばってしまって、どんどん重症化させてしまうのです。

うつ病は、放っておけば自殺という悲しい結末も引き起こしかねない、怖い病気です。その意味では、心の風邪どころか、心の肺炎くらいにとらえたほうが良いようです。

「この人、うつ病じゃないかしら」と感じたら、とりあえず通院を勧めましょう。うつ病でなかったとしたら、それはそれで安心ですし、もしもうつ病だとすれば、治療開始が早ければ早いほど、回復も早まるのですから。

簡単に治る


ちょっと風邪をこじらせても、病院で注射したり、薬をもらって飲んだりすれば、2、3日、長くても1週間程度でずいぶん良くなります。そこで、「うつ病は心の風邪だ」というフレーズから、うつ病の治療も簡単に、短期間で終わると期待する方が結構たくさんいらっしゃるようです。

ところが、実際には、うつ病の治療を初めても、ちょっと楽になったなと感じられるまでには数ヶ月、半年、場合によっては数年かかることもしばしばあります。

うつ病治療の基本は休息です。そして、病院で処方される薬は、十分に休息するのを助けてくれます。薬は、睡眠薬とか精神安定剤なども使われることがありますが、中心は抗うつ剤です。

抗うつ剤は、脳内の神経伝達物質のアンバランスを調整してくれます。それによって、十分に休息がとれるようになり(アンバランスなままだと、たとえ休んでいても心が安まらないのです)、病気が回復していくのです。

ところが、抗うつ剤は何種類もあって、人によって合う、合わないがあります。そこで、お医者さんは患者さんの様子を見ながら、副作用の弱いものから順番に試していくのです。

抗うつ剤を飲み始めて効果が現れるのに、通常2、3週間かかります。そこで、薬の効果を試すのは、1種類につき1~3ヶ月くらいかけるようです。なかなかその患者さんに合う薬に当たらない場合、病院にかかったのに何年もうつ状態が続くということになります。

患者さんは当然焦るでしょうし、こんなことなら薬を飲んでも仕方がないと、治療をやめてしまう方もいらっしゃるでしょう。

そして、家族も「心の風邪だなんて言うけれど、ちっとも治らない」と、一緒になって焦ってしまうかもしれません。患者さんが焦るのは仕方がありませんが(焦らなくてもよい場合でも焦ってしまう病気ですから)、家族は「治療には長い時間がかかるものだ。別におかしなことではない」と、どんと構えておきましょう。

ただし、こう言っては何ですが、中には腕の悪いお医者さんもいらっしゃいます。計画的に薬の効果を試しているのではなく、ただ漫然と薬を増やすだけというような。そこで、事前に口コミサイトなどで情報を集めたりする必要はあるかもしれません。そして、この先生の治療は大丈夫かなと思ったら、セカンドオピニオンを利用して、現在行なわれている治療について、客観的な評価をしてもらうことも考えて良いでしょう。

まとめ


「うつ病は心の風邪」という言葉が一人歩きして、いろんな間違ったイメージを生み出しているようです。そのために、かえって治療に逆効果な行動につながるとしたら、それは残念なことです。

家族としても、正しい知識を手に入れることで、さらに患者さんの助けになれるといいですね。