2010年05月

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以前、あるお母さんから、こんなご相談をいただいたことがあります。

同じきょうだいでも、上と下の子は平気なのに、真ん中の子にはいつもイライラしてしまうんです。何かにつけてグズなので、黙って見ていられなくて、ついつい言葉や態度がきつくなってしまって、あとで反省することが多いのです。どうしたら子どもたちに、平等に接することができるでしょうか?

うつ病の患者さんに対しても、いけないいけないと思いながらも、イライラしてしまうことってありませんか? このお母さんの訴えは、もしかしたらあなたにも人ごとではないかも知れません。

この問題を解く鍵は、「自分を知る」ということです。

僕から一番遠いところ


子どもがお父さんになぞなぞを出しました。「地球上で、僕から一番遠いところってどこだか分かる?」 お父さんが答えます。「どこだろうな。アルゼンチンかな」。すると、子どもは言いました。「ぶっぶ~。僕の背中で~す。だって、地球は丸いんだもの」。

「自分」は自分に一番近くて、しかし一番遠い人。私たちは、自分自身のことをよく知っているようで、案外よく知らないのかも知れません。さあ、そこで、自分を知るための心理テストをやってみませんか?

「私は周りの人たちから○○と思われている」。
この文章の○○のところを、10個挙げてください。

心理テストの解説


さあ、書けましたか? 実は、○○のところに書かれたものは、「他の人があなたのことをどう思っているか」を表しているわけではありません。他の人が何を考えているかなんて、分かりませんものね。そうではなくて、「あなたがあなた自身のことをどう評価しているか」ということを表しています。自分自身を、何にこだわって評価するかということです。

また、この答えは、あなたが他の人を見た時に、何にこだわって評価するかということも表しています。自分自身に対するこだわりは、他の人を見るときのこだわりと同じです。

たとえば、自分の仕事の業績を気にする人は、他人の仕事の業績が気になります。「人に対して素直であること」を気にしている人は、他人も人の言うことに素直に従うかどうかが気になります。「最近髪の毛が薄くなってきたなあ」と気にしている人は、同年代の人の頭が気になりますし、「ペンキがハゲてきたね」などという言葉にも敏感に反応します。

イライラは自分の鏡


さて、先ほどのお母さんに、こんなふうにお聞きしました。「真ん中のお子さん、誰かに似ていませんか?」

すると、「そういえば、小さいときの私に似ています。私も、お前はグズだとよく親や先生に叱られていました。だから、がんばってグズを治したんです」とお答えになりました。

このお母さんは、表面的には行動が素早くなりました。もうグズではありません。しかし、「グズな者はダメだ」という、小さいときに刷り込まれたこだわりは今も生きていて、それが真ん中のお子さんを見ると吹き出してくるのです。

このお母さんにこんなお願いをしました。目を閉じ、胸に手を当てて、小さかったときの自分に向かって「ゆっくりでいいんだよ。ていねいにやれてステキだね」と、何度も何度も言っていただいたのです。

すると、3度目くらいで、ぽろぽろと涙を流し始められました。「ああ、そんなふうに言ってもらいたかったんだ」。そして、その後、真ん中のお子さんの行動にイライラすることが少なくなっていかれました。

私たちも、他の人の言動にイライラすることがありますね。具体的に損害を受けているときはイライラするのも分かりますが、そんなに目くじらを立てるほどのことでないのにイライラしてしまうとしたら、もしかしたら自分自身の中の、未整理のこだわりが引き出されているのかもしれません。

ですから、誰かにイライラしたら考えてみてください。これは一番手軽な心理テストです。すると、大切な自分を再発見することができ、患者さんとの関係がさらに良くなるきっかけになることでしょう。



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