2011年01月

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

教育は愛情であり、科学である


年末、本棚の整理をしていたら、大学時代の教科書が出てきました。「教育工学」という授業で使ったものです。教育工学とは何ぞやということについてはここでは説明しませんが、授業の冒頭で教授が語った言葉については、教科書を見たとたん、克明に思い出されました。それだけ印象的だったのでしょう。

その言葉とは、「授業は仮説検証の場である」という言葉です。

仮説というのは、「こういう特性を持った子どもたちに対して、こういう教材を、こういう方法で提供したら、こういう態度や能力を身につけるのではないか」という予想のことです。

その仮説に従って授業をし、本当に期待した態度や能力を身につけられたかどうかを検証します(たとえばテストを受けてもらうことで)。期待通りなら、その仮説は正しかったということであり、期待通りでなければ、その仮説は間違っていたということです。

仮説が間違っていたということは、子どもたちの特性をとらえ損ねていたのかもしれないし、教材の選定が間違っていたのかもしれないし、その提供方法(授業のやり方)が間違っていたのかもしれないということです。それを検討し、改めて別のやり方で関わっていくのです。

これが「授業は仮説検証の場である」という意味です。

冷たくないですか?


最初、教授の言葉に対して、私を含む多くの学生は反発を感じました。教室を実験室か何かのようにとらえ、子どもたちをモルモットか何かのようにとらえているように感じ、人間味を感じられなかったからだろうと思います。愛情とか、熱意とか、人格の尊厳とか、そのようなものを否定された気がしたのです。一言で言うと、「冷たい」と。

しかし、今振り返ってみると、教授が言いたかったことがよく分かる気がします。

医は仁術と言います。確かにその通りです。患者に対する尊敬とか、愛情とか、病気を治したいという熱意とか、いのちに対する畏怖とか、そのようなもののない、単なる上昇志向やお金儲け主義の医者にかかりたいとは思いません。

しかし、やる気はあるけれど技術はないという医者に、自分の命を預けたいとも思いませんよね?

教師が子どもたちを愛し、子どもたちの知情意や健康の育成に対して熱心であるのは当然のことであって、子どもたちに授業をする以前の問題です。そんなものをわざわざ教育工学の授業で学ぶ必要はない。教授はそう言いたかったのでしょう。

そして、単なる熱心の空回りにならないように、子どもたちの成長を邪魔せず、むしろ促進することができるように、教育の「技術」を磨いていくことが大事なのだと。そのためには、単なる精神論で終わることなく、仮説→実践→検証→仮説の修正→再実践……という「科学的な」視点や方法論を身につける必要があるのだよ、と。

教育は、子どもたちに対する愛情の表れです。と同時に、科学でもあります。そのどちらの側面も大切です。

うつ病の患者さんへの対応も科学的に


さて、うつ病の患者さんへの対応も、愛情の側面だけでなく、科学的な視点や方法論が大切だと、私は考えています。

私がうつ病の患者さんへの対応法を本にしたとき、そのタイトルに「マニュアル」という言葉をつけたのも、技術的な側面を大切にしたいと考えたからです。もちろんテクニックだけで人は変わりませんが(実際に本を読んでくださった方はお分かりの通り、決して冷たい内容ではないはずです)、具体的な方法論も大切だからです。

教育工学の教授の言葉を借りれば、「うつ病の患者さんへの対応は、仮説検証の場である」ということですね。

仮説検証


「うつ病の家族への対応マニュアル」(販売版の方)を購入してくださった方には、ネット上に解説したSNSである、購入者専用の自助グループサークルに招待しています。

そこでは、質問や相談に対して私が答えるだけでなく、参加者同士が知恵を出し合ったり、支え合ったり、愚痴や弱音を吐き合ったり、互いに助け合っています。

先日、サークルで、こんな発言をしてくださった方がいます。ご自分が学ばれ、気をつけておられる事です。

「うまくいっていることは変えずにそのままやる」

「一度やってうまくいったことは再びそれをやる」

「うまくいかないのであれば、何でもいいので違うことをやってみる」

これは、まさに「仮説検証」の態度です。そのときの気分で、行き当たりばったりに接するのではなく、しっかりと考えて行動しようとしておられます。

実際、この方と患者さんとの関係は格段に改善しましたし、それに併せて患者さんの状態も少しずつ上向きになっています。

失敗を恐れないで


科学の世界では失敗はつきものです。どうか、患者さんとの関わりでも、失敗を恐れないでください。失敗を恐れて、まってく関わらなくなってしまえば、患者さんは寂しい思いをし、余計につらくなるでしょう。

やってみてうまくいかなかったら、どうしてうまくいかなかったのか考えてください。そして、別の関わり方で再チャレンジしましょう。それでいいのです。



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