患者さんの話を黙って聴いてみて下さい

ここでは、患者さんの話を黙って聴いてみて下さい に関する情報を紹介しています。

治そうとするな、分かろうとせよ


うつ病の患者さんとお話しするとき、家族や恋人としては、「この会話によって、何とか元気になってもらいたい」と思いますね。

「この会話によって」と意気込むと、どうしても、弱音を吐く患者さんの言葉を遮ったり、無理に励まそうとしたりしますね。


でも、「この会話によって」と意気込むことが、実は患者さんにとってはかえってストレスになることも多いのです。というのも「早く治れ」と急かされているような気になったり、「元気じゃないあなたはダメだ」と言われているような気になるからです。


患者さんの第一の願いは、「この苦しい気持ち、分かって!」なので、まずは「治そうとしないで、分かろうとして聴く」ことに集中しましょう。


口をはさまないで聴く


そのためには、まずは「口を挟まないで聴く」技術を身につけましょう。

うつ病の患者さんが、自分のつらい気持ちを語ったり、
死にたいなんてことを言ったりしたとき、
ついつい励ましたくなったり、「そんなこと言わないで」と言いたくなります。


でも、その一言をグッと飲み込んで、黙って聴いて下さい。

こちらが何を言うかに意識を向けるのではなくて、「この人はどんな気持ちなんだろう」というところに意識を向けて下さい。


しかし、ただ黙っているだけだと、患者さんは「本当に聴いているのか」と不安になりますから、「聴いているよ」というサインだけは送ることにしましょう。サインの送り方は3つばかりあります。

(1) アイコンタクト


相手を優しく見つめながら話を聴きましょう。

真剣に聴こうとすると、案外怖い顔になってしまいますから、優しく見つめることを意識して下さいね。

(2) うなずき


これも意識しないと、なかなかできません。多少オーバーなくらいにやりましょう。

(3) 相づち


相手の話に合わせて、何か声を出しながら聴きます。声というのは、

  「そう……」
  「そっかぁ……」
  「そうなんだ……」
  「ふーん……」
  「へー……」
  「なるほど……」

というような言葉です。他にも、

  「それから?」
  「それで?」
  「もっと話して」
  「もっと聴かせて」

というふうに、話を促すような言い方をしてもいいでしょう。ただし、話を急かすような雰囲気にならないようにして下さい。


気持ちに焦点を合わせて聴く


大切なことは、患者さんの気持ちに焦点を合わせて聴くということです。

私たちは、ついつい「どんなふうにアドバイスしようか」と、アドバイスのポイントを探して聴いてしまいます。そうではなくて、患者さんの気持ちを汲み取ることが第一です。

口には出さないけれど(もちろん出してもいいですが)、

  「あなたはそういう気持ちなんだね」
  「そうか、そんなにつらいのかぁ」
  「もっとあなたの気持ちを聴かせて」

というような思いをこめて、見つめ、うなずき、相づちを入れながら、耳を傾けましょう。


こういう話の聴き方を、カウンセリングでは「傾聴」と言います。

私がカウンセリングの訓練を受けたとき、二人一組になって、相手の話を聴く練習をしました。まず練習したのは、この傾聴の技術でした。

最初は2分間黙って聴くのもつらかったです。感想を言いたくなったり、アドバイスしたくなったりして、そのうちムズムズしてきたものです。

あなたもそうかも知れません。


でも、ぜひ実践してみてください。だんだんと、口を挟まないで聴くことに慣れてきます。

そして、患者さんの気持ちがだんだんとくみ取れるようになってきます。


すると、その分だけ、患者さんの心は楽になるのです。

うつ病の患者さんは、つらい気持ちがたくさんたまっています。あなたにその気持ちを分かってもらった分だけ、少しずつ気持ちが楽になってきます。


治そうとして、あれこれしゃべる前に、まずは黙って耳を傾ける技術を身につけましょう。



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