絶望の言葉を出し切ると

ここでは、絶望の言葉を出し切ると に関する情報を紹介しています。
先日、先輩カウンセラーのお話を伺いました。今日はそれを聞いて教えられたことを書かせていただきます。

受容


このブログは、うつ病の患者さんへの対応の仕方がテーマですが、その基本は「直そうとするな、分かろうとせよ」ということです。直すというのは、今の状態を改善しようとする関わりを指します。たとえば、教える、励ます、禁止する、何かをさせようとうする、などです。

そうじゃなくて、まずはじっくりと相手の話に耳を傾け、相手の気持ちとそう感じる理由を理解する(分かる)こと……これを[受容」といいます……に、エネルギーと時間を費やしましょうと。

というのは、うつ病の患者さんや、悩みを抱えて苦しんでいる方というのは、確かに今の苦しみや問題を解消して欲しいと思っていますが、それよりも、まずはこの苦しい胸の内を分かってもらいたいと思っているからです。それをしないうちに、相手の問題を解決しようと思って、教えたり励ましたりしても、その言葉は相手の心に届きません。

直すことより受容することを優先する他の理由や、受容するとは具体的にどのような対応をすることなのかという点については、このブログをじっくり読んでいただくか、こちらの無料冊子をご参照ください。

際限ない絶望話


しかし、実際に悩み苦しんでいる人の話を聞くのは、非常にしんどい作業です。1分2分ならまだしも、延々と否定的な話、絶望的な話を聞かされ続けると、どうにか希望を持ってもらいたい、前向きになってもらいたい、可能性に目を向けてもらいたいと考えて、ついつい励ましたり、教えたりしたくなります。

でも、たいていこの目論見は当てが外れます。皆さんも、患者さんを励まそうとして、うまくいかなかった経験、それどころかかえって「しょせんあなたなんかに私の気持ちは分からないんだ!」と泣かれたり罵倒されたりした経験をしてこられたのではないですか?

偉そうに言っていますが、私自身もなかなか人の否定的な絶望話を聞いていられません。私が話を聞いた先輩も同じで、このまま受容し続けたら、際限なくネガティブになって、ますます回復が遅れるのではないかと恐れていたそうです。

ところが、それでも基本に忠実に受容し続け、直さないで聴き続けていると、相談にいらっしゃった方がある時ふっと前向きな言葉、希望や可能性に満ちた言葉を語るようになると言います。だからといって、こちらが「こういう可能性もあるんじゃないですか?」「こういう解決の道もありますよ」と希望を語ってもダメなのです。あくまでも、ご自分で気づかなければ。

先輩カウンセラーは言いました。「人は、絶望を語り切ると、自ら希望を語り始める」。

うつ病の患者さんは、単に精神的に否定的になっているだけでなく、脳自体が変化していますから、前向きな考え方に変わるのは余計に時間がかかるでしょう。しかし、それでもやっぱり、絶望を直さないで聞き続けると、自ら希望に目を向けてくださるようになります。そうやって、これまでも多くの読者の方が、患者さんを助けてこられました。私のところには、そんな感激のメールがたくさん届いています。

だから、もうちょっとだけ、聴いてみましょう。

ただし


絶望を聞き続けるというのは大切なのですが、もちろんあなたにもスケジュールがあるし、体力や気力も無尽蔵ではありません。無理して長時間聞き続けると、やがて疲れて患者さんとの関わり自体がイヤになってしまいます。

そこで、カウンセリングでは、面談の時間を週に1回45分というふうに区切ります。家族の場合には、なかなかカウンセリングのようにきっちり話を聞く時間を決めるというのは難しいかも知れません。しかし、それでもやっぱり、「今は用事があるから、夜になったら時間を取らせてもらうね」とか、「今日は1時間話を聴かせてもらうね」というふうに、制限を設けるようにするといいでしょう。


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